高等遊民前夜

毎日やっつけエブリデイ

レコードなんて集めてどうする

  日曜日。どんよりした天気で湿度が高い。多毛だから湿気で髪が広がって困る。そんな朝。今日は市内のレコードショップをめぐりたいという同居人たっての希望で、早起きして主要なレコード店を巡回することにしていた。というのも、先日満を持してレコードプレイヤーを購入し、自宅でアナログ盤を聴けるようになった。

 プレイヤー自体はSONYの安いもの。最近は安価でもそこそこ質のいいプレイヤーがたくさんあるのですね。思えば、いつでも買おうと思えば買うことはできたにも関わらず、これまで手を付けていなかったのが不思議だ。おそらく、ぜいたく品だから優先順位が低かったこと、ハマりだしたら終わりのない恐ろしい趣味に化ける可能性があることが理由だと思う。
 これまでほとんど意識したことは無かったけれど、地方都市といえど名古屋市内にはレコードショップがたくさんあるみたいだ。それこそ一日じゃ回り切れないほどたくさんのお店がある。新しい趣味はわたしを知らない場所へと連れ出してくれる。

 11時ごろに自宅を出て、栄駅へ。ラーメン屋さんで煮干しベースのまぜそばを食べて栄養チャージしてから歩くことにした。大須商店街まで移動。大須商店街は、おそらく愛知県に住んでいる人なら知らないひとはいないディープな場所で、食べ歩きできる飲食店や変な古着屋さんがたくさんある。その一角にあるレコード店からスタート。

 ここが一軒目なのになかなか当たりで、自分たちが欲しかった比較的新しい邦楽のレコードがたくさんあって、しかもほとんどが3割引きセールになっていた。天国だろうか。レコードは発売時に買うのが底値で、その後はオークションサイトやフリマサイトで高値で取引される。だから定価(底値)で買うには実店舗を回って在庫を探すしかないわけだが、ここは本当に穴場だった。ふたりで10枚以上買ったと思う。この時点で完全に破産。私はくるりや青葉市子やスカートのレコードを買い、同居人はKing Gnuや銀杏BOYSのレコードを買っていた。レジ横のCD中古コーナーに星野源『恋』の初回限定盤が210円で売っていたからこれもすかさず買った。初回限定版はDVDがついているから基本は高騰するのに、210円。天国だろうか。これは欲しがっていた友人にあげようと思う。

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 続いて大須の路面にあるレコード店。路面に面している部分が全部ガラスで中がどうなっているか見えるから、比較的入りやすい感じのお店だった。(レコード店ってすこし入りにくい。)二階建てで大きな店。ただレコードが棚にパンッパンに入っていてほしいものを探しずらかった。それが醍醐味なのかもしれないが、今日はなるべくたくさんお店を回りたいから先を急ぐ。また来たい。大須の公園でアイスを食べて一息ついて、次へ行くことにした。

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 次は新栄駅。名古屋に住んでいる人のほとんどが普段は降りない駅。ダイヤモンドホールがあるからライブ目的に降りる人が多いイメージ。その近くの古いビルの一角にレコード店があったからそこへ入る。ひとりではまず入れない雰囲気の店舗。行くと店のドアが施錠されていて「あれ?」と思っていると、段ボールを抱えたおじさんが「すいませんね〜買取対応していたもので〜今開けますね〜」とやってきて、気さくな感じの店で安心した。この店は新譜はなくて、80年代くらいまでのゴリゴリの中古を扱うお店だった。小さい店舗なのに次から次へと常連らしきおじさんたちがやってきて、ものすごい速さでレコードを物色して買って帰っていった。あとこの店、めちゃくちゃ安かった。申し訳ないくらい。
 店主のおじさんが買取査定をしているようで「このレコードはうちで買い取ると安価になってしまうので、ブックオフの◯◯店の方が高値がつきますよ。あの辺りはレコードの需要が高いので」と言っていて、これはいい店だと確定した。レコードの陳列棚もあえて余裕を持って入れてあり、探しやすかった。同居人はクリムゾン・キングの有名なアルバムのレコードが1000円で売っているのを発見して、ちょっと悩もうと棚に戻したら別の客に買われてしまったらしい。ほしいと思ったらその瞬間に買わないとダメですね。ここではABBAビリー・ジョエルMR.BIGのレコードを買った。


(↑これ。一番有名なやつ。)

 最後に 金山駅の近くにあるレコード店。最近店の面積が小さくなったらしい。ここはCDとDVDの品揃えがすごくて思わずそちらを見てしまった。レコードもいっぱいあった。何枚か手に入りにくいレコード(ほしい)を見つけたけど、流石に高かったから泣く泣く諦めた。今日は一軒目で買い過ぎてしまったので…まだ人生長いしこれからまた探すことにする。同居人は、先の店で買い損ねたクリムゾン・キングのレコードが7,000円で売っているのを見てめちゃくちゃ悔しがっていた。

 帰宅後はずっとレコード鑑賞会をした。レコードってまあオシャレなんだろうけど、取り扱いに気を遣うし、レコード裏返すのも面倒、しまうのも面倒、お手入れも面倒。なのになんでこんなものを集めてしまうのだろうなと思ってしまう。今日買ったレコードたちは、Apple Musicでいつでも聴けるのに。そうやって考えると、モノとしての形を持つ媒体というのはそれだけ優秀なメディアだということなんだろうと思う。手に取れば確かな重みがあって、肌触りがあって、時間の経過とともに古びていく。手元にあれば眺めることができるし、歌詞カードを捲る手触りとか、あのとき背伸びして買ったなあ、とか、誰々にもらったなあ、とかそういった記憶も結びついて、愛着になっていくのだと思う。知覚は侮れない。取り出して、裏返してという手間をかけることで、それがより強まるのだろうな。電子データの音楽だと、多分そこまで愛着は湧かない気がする。データは壊れるかもしれないけど、また同じものを買えばいい。それはとても便利で寂しいことだ。誰かにもらった贈り物のCDは、きっとケースが割れたとしても大切なもので、失ったときに同じものは手に入らない。たとえ同じCDを買ったとしても。

 そう考えていくと、CDやレコードは本来の用途(収録された音楽を再生する)という役割を超えて、モノとして形を持っているということが重要になってくる気がする。

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 私が買ったレコードもそういった記憶や感覚が結びついて、愛着になっていくのだと思う。ある蒸し暑い6月に、同居人と市内を巡りレコードを買い漁った。ひやかすつもりが一軒目で大量に買ってしまった。レコードは持ち歩くと意外に重たい。二軒目以降は、その重みに耐えながら巡った。腕にはレコード袋の跡がついて鬱血していたけどすがすがしかった。そんな記憶と結びつくレコード。

 夜。鳴り止まない音楽を聴きながらご飯を食べた。豚肉の大葉チーズ巻き。きゅうりのたたき梅肉和え。アボカド入りポテトサラダ。いい1日だった。

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 (本日買ったレコード)

  

  

 (本日巡ったレコード店