高等遊民前夜

毎日やっつけエブリデイ

嗅覚

 土曜日。死ぬほど疲れている。昨夜は戦略的な寝落ちをしたため、6時に起きて風呂を済ませる。今日は一年七ヶ月ぶりに美容院へ行き、髪を切ることになっている。コロナ禍前の2020年1月に行って以来だった。コロナ禍だからと遠慮に遠慮を重ねて、私の髪はベリーショートから背中までのロングヘアになり、多毛のため流石に収拾がつかなくなっていていた。歌舞伎の連獅子みたいに毛量が多いのだ。あの白とか赤の長い髪を振り回すやつ。予約は9時半から。思いがけず早い時間に入れてしまった。

 美容院って、ちゃんと身なりを整えていかないと客として値踏みされて、テキトーに対応されるみたいな話がまことしやかに囁かれるけど、実際どうなんだろう。知人の美容師の女の子に聞いた時には「テキトーにすることはないけど、タイプの可愛い子がお客さんがくると気合いが入る」と言っていたから、あながち間違いじゃないんだろうなと思った記憶。とりあえずちゃんと服を着て、ちゃんと化粧をしてちゃんと人の形になって出かけた。
 来店して早々、伸びっぱなしだね〜すごい量だね〜と呆れられた。私の髪は普通の人の3倍くらいの毛量らしい。こんな担当の美容師によると、コロナ禍では美容師のシフトを減らし、客数を減らして営業しているらしくなかなかしんどいそう。そりゃそうだよなと思った。就活のために髪を切る人がメインの客だった時期もあるらしい。美容師なんて対面での接客ありきの仕事だから、本当に大変だったろうなと感じた。
 髪型は、結局いちばん楽なショートボブにした。ボブが流行るのは私自身すごく分かる。扱いやすいし、手入れもセットもしやすいし、適当になってもそれなりにきちんと感が出るのだ。このヘアスタイルが一過性のものではなくてしばらく安定して支持されているのは理にかなっているからだろうな。男性でマッシュなど重ための髪型がずっと流行っているのも、何か理由があるんだろう。

 美容室終わりに近くのミスドでドーナツをテイクアウトした。ミスドミスドでお客さんが少なすぎ不安になる。いよいよ人を苦しめているのはコロナなのか、一部の特権的な人たちなのか、分からない。

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 途中で寄った初めて入るレコード店で、人が少なかったから覗いてみたら稲垣足穂の古本が破格で売っていて思わず変な声をあげてしまった。なんでレコード店にコアな古本があるねんと思いつつ、念のため、スマホでオークションサイトを調べ相場を確認する。明らかに安すぎる。桁を間違えているんじゃないかと値札を何度も見つつ瞬足でレジへ向かっていた。

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 今日は久々に街をゆっくり歩いたせいか、やたらと嗅覚が効いていた。次に久しぶりに訪れた本屋は閉店を明後日に控え、店内の小売の商品がすべて70%オフになっていた。(書籍は返本できるからセール対象外だ。)一通り見て、職場で何本あっても困らないジェットストリームのボールペンや替え芯などを漁った。その流れで、LAMYのボールペンと万年筆までもセールになっていて思わず二度見してしまった。おそらく他のお客さんは流石にLAMYは対象外と思っているのか、完全にスルーしていたからだ。これ7割引きで買ったら千円以下じゃないかと震えながら三本買った。同居人が欲しがったら分け与えて、余ったものは職場用にしようと思う。巡り合わせがいいのかやたらお買い得品に巡り会える1日だった。

 夕方。同居人と合流し、よく通っていたきしめん屋さんへ。名古屋市では知るひとぞ知る名店で、座席数もわずかしかなく、コロナ禍前からソーシャルディスタンスが徹底されている店だ。店の外観がやたら敷居が高そうだけど、メニュー的にはそうでもないから嬉しい。休業していないか心配していたけど、ちゃんと続いていてよかった。この店はどうかなくならないで欲しいと思っている。私は牛すじきしめん(白)、同居人は牛すじカレーきしめんを食べた。あと地豆(生の落花生を殻ごと塩茹でしたやつ)があったから思わず食べてしまった。地豆大好き。茹でたピーナッツはねっとりしていて柔らかくて美味しいし。殻を割ってちょっとずつ食べるから、なんだか枝豆みたいに黙々と食せて満足感がある。

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 帰宅してフジロックを観ていた。King gnuになんとか間に合った感じ。コロナのことも言っていたんだけど、アーティスト側もこれが仕事で、生きていくためにはこういった場を減らすわけにはいかないことは明白だから、出演する人も出演を取りやめた人もものすごい悩んで決断をしてきたのだろうなといやでも思わされた。一昨日、折坂悠太が出演を中止したときにtwitterで掲載していたコメントに全て詰まっていると思ったんだけど、一番悪いのは国民や仕事をしている現場の人にあらゆる対策や決定を押し付けている国なんじゃないかと思う。ミュージシャンもこれでクラスターが起きたら、皺寄せがいくのは医療現場ってこともわかってるだろうし、だからと言って仕事をしないわけにもいかない。でも一年間我慢して、今年も音楽活動するなとなり、それでも活動を決行するミュージシャンを責めることもできないよな。ステージに立っている人たちだけじゃなくて、その裏方にはたくさんの人の雇用があって、一つのライブを辞めるだけでたくさんの仕事が失われる。この業界には補償金も何もない。ステージに立つ人にはそういった人たちの暮らしもあるわけで、夢を与える仕事という綺麗事だけじゃない泥臭いものがあるんだろうなと思うわけです。かといって、医療現場などではずっとずっと大変な状況が続いているから、手放しに容認するのも心苦しい状況ではあって、身が切り裂かれるような心地がする。知人にはあらゆる業界の人がいて、だからこそ誰も責めることができないし、許すこともできなくてしんどい。こんな状況がいつまで続くのだろうね。疲れるな。

  0時ごろに就寝。