高等遊民前夜

毎日やっつけエブリデイ

人間離れ

 木曜日。今日いちばん驚いて心が揺れたのは瀬戸内寂聴さんが亡くなったというニュース。人が亡くなるのは当然のことで、99歳が高齢であることを思えば死が近いことも不思議ではないのだけど、なぜかものすごく不意を突かれた心地がして呆気に取られてしまった。ご高齢である人の死にこんなに驚いたのは忌野清志郎が死んだとき以来かもしれない。忌野清志郎瀬戸内寂聴も、私の中ではどこか人間離れした存在であるかというか、存在するのが当然でいつまでも生きていそうな雰囲気を帯びていたのだと思う。この人がいなくなることはないんじゃないかという無邪気な希望があった。だって死にそうにないじゃないですか。でも忌野清志郎瀬戸内寂聴も亡くなったのだから、ふたりとも人間だったということだ。これで谷川俊太郎が他界したらいよいよ喪失感が凄まじそうだ。

 私個人としては、瀬戸内寂聴よりも、出家前の瀬戸内晴美のほうに慣れ親しんできた。『夏の終り』とか、作家のイメージ。瀬戸内寂聴の人柄とか、思想とかは賛否両論あって、私もすべてに賛同しているわけじゃないけれど、性愛への欲望に忠実な女性の姿を赤裸々に書いて功績は、やはりすごいなと思う。今でこそ、不倫ドラマが女性に支持されていたりして、女性にもそういった欲望があることは批判されるにせよ存在自体は認知されている。今よりも良妻賢母像が強い時代に、不適切とされて隠されていた奔放な女性を書いて、批判されながらも人気作家になったのは、作品に書いた女性の欲望が瀬戸内寂聴だけのものではなかったからだと思う。私は女性であるわけだけど、私が100年前の女性よりも自由であるのは、こういう人たちがいたからなんだと思う。

 仕事。とても疲れた。でも明日は北陸へ行って蟹を食べるから生きるのだ。

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