高等遊民前夜

日記と考え事のログ

みそか

 木曜日。今年度最終日です。31日です。みそかでございます。晴れやかさはゼロです。やらなきゃいけないことがたくさんあって、お尻に火のついた心境。この前買ったHYKEの目が覚めるようなブルーのタイトスカートで外へ出た。好きな服は武器だなと思う。強い。

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 私が服にすこしお金をかけられるようになったのは、ほんとこの数年くらいで、同居人と暮らし始めて生活費が浮いて、少しだけ手元に残るお金に余裕が生まれたからだった。私は、ファッションというものに全く関心のない両親のもとに生まれ、着る服はすべて親戚のおさがりだったから、お店に連れてってもらって服を選んだことがない子どもだった。両親にとって服は「自己表現のためのもの」ではなく「最低限あるべき装備」だったから、私が新しい服がほしいと言っても「もう持っているでしょ」というのだった。みんなが着ているユニクロのフリースが欲しい。ジャンパーを一枚持っているでしょ。そんな感じだった。両親にとって服は贅沢品で、身を守るために必要最低限あればよいのだった。その理屈が分からないこともないから余計に苦しかった。思春期になり、同級生たちが服に気を遣うようになり、週末に街へ出て服を買いに行く話を遠い国の洗練された人たちの文化のように聴いていた。一緒に連れて行ってもらったとき、そもそも服をどう選ぶのかが分からない私はおしゃれな店の中で愕然としていた。何を食べてどう育ったらそのような文化を手にするのか理解できなかった。

 大学生になってアルバイトができるようになって、ようやく自分で服を買えるようになった。手持ちの服を増やすのに必死で安い服しか買えなかったけれど、親に干渉されずに自分が着たいものを自分で選び買えるのだ。私は自分がこんなにも着たい人だったと知って驚いていた。

 働くことは楽しいことばかりじゃなかったけれど、ともあれ、働くことは私にとってようやく自由になれたことを実感させる原体験だった。貯金が増えれば選択肢が増え、自分がしんどくなった時の保険も増えた。

 残業中、夜食を買いに外へ出ると桜が咲いており、夜桜を楽しんでいる学生と思しき人たちがちらほらいた。明日からは新年度で、働き始める人も多いんだろうなと思う。

 私にとって働くことは絶えずつらいことで、愚痴ばかりをこぼしてしまうけれど、悪いことばかりじゃないとは思っている。私の周りにも、働いたことで海外に飛び出したり、新しいことに挑戦できている人もいるし、経済的に自立して毒親から逃れたり、昔からの呪いを解けた人も多い。自分に合わない仕事に見切りをつけて、天職に行きついた人もいる。私には何より、辛さと引き換えに自由な暮らしを与えてくれている。働くことは辛いし、何もかもを与えてくれるわけではないけれど、必要としている何かが見つかるかもしれない行為だと思う。でも仕事はただの仕事であってすべてではない。だから、新社会人のみなさまに置かれましては、仕事なんかに過度に期待せず、自身の心身をなによりも大事にして、とりあえずGWまでは生き延びるくらいの気持ちでほどほどにやり過ごしてほしいと思う。)