高等遊民前夜

ただの日記

雨は気まぐれ

 土曜日。朝から雨が降るのかどうかはっきりしない天気で、傘を持っていくか否か、それだけのために長いこと逡巡した。持っていくと降らないし、置いていけば降るのだ。安牌は持っていくことだけれど、持っていかないことにした。果たして。

 名古屋栄へ行って心療内科へ。途方もなく待合室で待たされるのが常だけれど、今日はすぐに呼ばれて逆に拍子抜けをした。肩透かしを食らった気分で診察室に入る。最近の気分はどうですか、薬は飲めていますか、と過剰に当たり障りのないことを質問されるのにも慣れた。私も当たり障りなく答える。6月あたりは仕事が多いといっても閑散期で、年度末・年度初めに比べればかなり落ち着いていた。薬はまたしても減らなかった。
 年度末の、もう訳が分からないくらい忙しくしていたとき。終電帰りはザラで、朝帰ることもあったりして、家に帰って食事も満足に摂らず数時間眠ってまた仕事に行くだけの日々において、私は異様に体力にあふれていた。疲れていて眠くてしんどいのは間違いなかったが、それでも気力があって休日でも仕事へ行った。今はどうだ。6月に入って、20時とか21時とかに帰宅できるようになって、あの頃と比べたら時間がたくさんあるはずなのに、気力が完全に底を尽きてしまった。帰宅した瞬間から体がどっと重くなり、風呂場へ行くことさえ苦痛になった。寝ても寝ても眠い。帰宅して、何とか食事をとって、そのまま逆らえないほどの強い眠気に負けて、糸が切れるように寝落ちする。そんな日々が続いた。

 燃え尽き症候群みたいなものだろうか。サカナクションの山口一郎もそうだって言っていたな。中止になったライブ、私も行く予定だった。でも今は、予定がなくなって悲しいような、安心したような、そんな感情があって、余計に私の問題を難しくさせた。私は、6月以降の気力を前借りして年度末ずっと無理をし続けたのかもしれない。ほんとうに腑抜けみたいになってしまっている。

 自分を奮い立たせるため、丸善で本を買い込んだ。定期的に本屋は見ているのに、出たことにすら気づいていなかった本もちらほらあった。特に昨年度末から今年度にかけての記憶はすっぽり抜け落ちてしまっている。来週分の昼食代にも手を出して買った。

 丸善の中にいたうちに通り雨があったようで路面がぬれていた。不快な湿気が立ち込めている。傘を持ってきていなかったが意図せず雨をしのいでいたようだった。栄駅のは地下街がたくさんあるから、雨が降っていても移動はできる。問題は自宅近くに帰った時だ。自宅までの地下道などない。

 帰宅した瞬間に土砂降りになって、今日は本当についていた。ベランダで植物の様子を見ていると、横殴りの雨が西のほうからこちらに近づいてくるのが分かった。向こう側だけ靄がかかったように見えたからだ。分かったのもつかの間、すぐに自宅のベランダにも大量の雨が打ち付けてきた。最近見ていないレベルの鋭角の土砂降りだ。濡らしてはいけない植物を急いで軒下にしまう。ビカクシダは湿気も雨も得意で、むしろサービスタイムと言わんばかりにご機嫌そうだった。もともと熱帯の植物だから無理もない。2週間前と比べると根元に生えている貯水葉という丸い葉が驚くほど成長していた。このまま成長してくれたら、お店で並んでいるような立派なビカクになれるんじゃないかと思う。その後も雨は降ったり止んだりを繰り返していた。


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 夜勤明けで寝ていた同居人が起きてきて、仕事の愚痴を話したことで少し苛立たせてしまった。立ち込める嫌な感じ。でもすぐに仲直りをした。あまり愚痴を言わないようにしないとな。同居人は話しやすいから、つい話してしまってよくない。反省もあった土砂降りの土曜日。

 

 
(本日購入本)