高等遊民前夜

日記と考え事のログ

ネットの人に会いに行くこと

 土曜日。私が住む名古屋市にも台風が近づいてきているはずだが朝からよく晴れていて拍子抜けする。愛知県というのはなかなか因果な地域で、強い台風が来て激しい雨が降るという前評判があればあるほど予想に反してそう大したことがなかったりする。私の子供時代、学生時代を振り返ってみても、暴風警報等の警報が2つ以上出て授業がなくなったことはほとんどなかった。歴史的には伊勢湾台風とかもあったし、たまに地下鉄が水没したりもするけれど、大体の場合は空振りに終わる難しい地域なのだ。晴れたからには水やりをした。

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 今日はツイッターでフォローしている方と会う約束をしている。その方は私よりぜんぜん大手(という表現でよいかわからないが)のアカウントで、人気者だからそうそう簡単に会えないかと思っていたから、本当に会えることになって驚いてしまった。自分のような生活にまみれた辛気臭いアカウントが絡めるだけでも申し訳ないのに、ほんとすいません、というオタク根性丸出しで準備をした。同居人は今週末実家に帰省するのだが、家を出る時間が一緒くらいになったからついでに送ってもらった。待ち合わせ場所は高岡駅の近くにある老舗の喫茶ボンボンだ。まだ同棲していない頃に同居人の住むマンションから徒歩で行けたから、よく行っていた喫茶店だ。同居人はついでにボンボンでお菓子を買って実家の手土産にしよう、と名案を思い付いていた。

 私の親は多分良く思っていないのだろうけど、私は「ネットの人」に会うことにあまり心理的ハードルを感じていない。むしろためらいがないと感じることのほうが多い。「ネットの人」とは、親たちの考えるところによると、実際に会ったことがなく、ネットを媒介してしか会ったことのない、得体のしれない人を指すようだ。親の言わんとしていることもわかるが、私は「ネットの人」だから危険とも限らないし、実際にリアルで知り合った人だから安全というわけでもないだろうと思っている。つまり親の意見にはあまり賛同していない。シンプルに考えても、自分が実際に会ったことのある人や、共通の知人から紹介された身元が分かる人といっても、その人が「いい人」かどうかは分からなくないか。結局のところ、対面かネット経由かなんてさほど重要ではなくて、きちんと自分で判断すればいいだけのことだ。私は今日会う人に会ってみたいと思っていて、ネット経由の出会いの危険性だとかを差し引いても自分が会ってよい人だと思うからそうする。それだけのことだった。

 思えば私は、どちらかというとネット経由の人に救われてきた人生だから、そう感じるのかもしれない。小学校高学年のころには田舎特有の閉鎖的な人間関係のなかでうまく振舞えなくなっており、孤立していた私はインターネット上の人々に救われていた。当時はツイッターもインスタもなくて、好きな漫画やミュージシャンが共通の人たちと掲示板やら個人サイトやらで交流したりしていた。要するに根っからのオタクなのだ。楽しかった。中学校以降は次第に学校にも居場所が見つかって、嫌なこともありつつ頑張れた。それはそれとして、学校での居場所を失ってもネットの世界に居場所があるのは救いだった。そういうところに私の原体験的なものがあって、いまだに私はネットが好きなんだろうなって思う。両親に、私の彼氏がアプリで知り合った人なんて言ったら卒倒するだろうな。

 待ち合わせ時刻よりだいぶ余裕をもって到着。喫茶ボンボンには喫茶店と併設されてケーキ屋がある。ケーキは喫茶店で注文して食べることもできるし、ケーキ屋でテイクアウトもできるのだ。レーズンバターサンドをあてずっぽうで4つ買い、お会いする方に渡す用にした。喫茶店のほうは思ったよりも混んでいなくて、少し順番待ちをしたら待ち合わせ時刻までには入店できそうで安心した。

 こちらの姿とか服装を伝えてなかったけれど、すぐに合流できた。今日お会いしたフォロワー(敬称略)の第一印象は、すごく声がかわいい人だった。よくスペースとかツイキャスを聴かせていただいていて、一度聴いたら忘れられないほど記憶に残る、誰にも似ていない声だった。いろんな人と積極的にしゃべるスペースを聴いていた時に、すごく天真爛漫にさらさら話しながらも、相手が話しやすいようにあれこれ問いかけたり、新たにスペースに入ってきた人に声掛けしたりしていて、すごく気配り屋で、繊細な方なんだろうなと思っていた。実際お会いしてもイメージ通りのかわいらしい素敵な方ですごくうれしくなった(ご本人はどうだかわからないが)。しかも、私が一方的にツイートを拝見している気分だったから、意外に相手にも色々読んでいただけているようで殊更嬉しかった。私は私で、しゃべり方でオタクだとすぐバレた。オタクはオタクと通じあえるのでバレるのは道理なのだった。小一時間話し込んでとても楽しかった。

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