高等遊民前夜

日記と考え事のログ

見えているのに見えてなかったこと

 水曜日。今年の盆休みは同居人とほとんど被らなかったが、今日だけは唯一休みが重なった。日帰りだと行ける所も限られてくる。今日はおとなり静岡県掛川花鳥園へ行くことにした。愛知県にはわかりやすい観光資源が少ない。隣接県の観光スポットは適度な距離があって適度に「ちょっとした旅行感」が出てちょうどいいのだった。私ももう何度も花鳥園には行ったことがある。10時くらいに出発。県境付近で工事による片側車線規制のせいで渋滞にはまった。

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 同居人は生粋の雨男で、今日もピンポイントで豪雨の予報だった。それでも雨は降らずなんとか持ち堪えてくれた。渋滞の影響で掛川に着いたのが遅くなり、先に昼食を取ることにした。掛川花鳥園掛川ICを降りてすぐの場所にあり、そのすぐそばにはハンバーグで有名な「さわやか」がある。知らない人のために一応説明しておくと、さわやかは静岡県内に展開するチェーン店で、牛肉100%使用の特大ハンバーグを毎日工場から直送して1000円前後で食べられる意味不明な高コスパ店。このレベルのハンバーグはお金を積めばいくらでも食べられるけど、この値段で提供しているのはここだけだと思っている。一度さわやかを食べてしまうと、自分の中のハンバーグ史が「さわやか以前/さわやか以後」に分断され、自分の中のハンバーグチェーンの基準値としてさわやかが絶対的なものになる、そんなお店だ。90分並んで食べたいと思わせるのもさわやか所以なのだと思う。同居人と来るのは2年ぶり。同居人は人生2回目のさわやかだけれど、相変わらず感動していた。

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 食後はすぐ近くの花鳥園へ。夏休みもあってかファミリー層の客がとても多かった。掛川花鳥園といったら有名なのは鳥だ。掛川花鳥園は基本的に、人間と鳥の間に柵がない。人間に慣れすぎている鳥たちは近寄っても物怖じせず、むしろ「鳥のほうが人間を観察している」かのような感覚が楽しめる場所だ。人間が扉を開けて出ていく隙に脱走する鳥や、人間用の手洗い場で巣を作る鳥など、完全に人間の存在なんてお構いなしの自由奔放さが楽しい。ハシビロコウのエリアも一応胸の高さの柵はあるものの、たまにハシビロコウが人エリアに飛んでいってしまうらしく「その場合はスタッフを呼んでください」とまで書いてある。どこまでも自由すぎるのだ。

 これまで何回も花鳥園に来ていて、その度に鳥ばかりを観ていたけれど、今回植物にハマっていく私たちは植物が気になって仕方がなかった。まず入ってすぐに大量の「アリ植物」がある。アリ植物とは、巣にできるような構造を持つ植物が中にアリを住まわせて共生するものだ。主に熱帯地方に自生している。園芸店でも滅多に見かけないアリ植物が大量にあって同居人と食い入るように見つめてしまった(他のお客さんは素通りしていく)。

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 その他にもいま大人気のビカクシダの大株や大量のエアプランツ(これもかなりの大株揃い)が大量に展示してあり、興奮しながら写真をたくさん撮った。前回来た時、この植物たちはここにあったのだろうか。たぶんあったのだと思う。でも、思い出そうにも鳥の記憶しかなかった。私たちは何回もここに来ていてこのエリアも見ていたはずなのに、植物のことは全く見えていなかったのだと思う。興味があるかないかだけで見えているものの解像度がこうも違ってくるのだなと実感した。人間の認知機能は不思議だ。実際、植物に感動して写真をパシャパシャ撮っているのなんて自分達を含めてごく一部で、世間で園芸人気が高まっているとはいえまだまだ少数派なんだなって思う。

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 他にも、二日間しか咲かないらしいオオオニバスの花も拝むことができた。この後は咲いたまま水中に沈み結実まで待つ。こういうのも知らなかったらただの景色として通り過ぎたんだろう。オオオニバスの葉は体重25Kg以下の子供なら乗れるらしく、そういうイベントもあるらしい。

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 植物に終始興奮しつつも、鳥とも触れ合った。屋外にエミューもいて、普通の動物園なら柵を隔てて見るところ、ここではその柵の中に入って行けて、普通に触ってもいい。ここまでくるとどうやって人に慣らしているのか不思議に思えてくる。近くで見るエミューは大きくて、これと寝食を共にしているOLさんが日本にいるんだよな、と思って尊敬の念が湧いてきた。

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 帰りは園内で植物の販売を行なっているところを物色し、いくつか連れ帰ることにした。結構攻め気味のラインナップで、衝撃的なくらい相場よりも安い品種もあった。ほとんどの客層が鳥目当てなのにチャレンジャーだ。きっと多くの人は相場よりも安いなんて思わずに通り過ぎていくんだろうと思う。ほくほくになりながら植物を抱えて帰った。